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シド・ミード展の感想

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本日は、シド・ミード展について。シド・ミードをまったく知らない状態で見に行ったわたしの感想です。

おそらく1970年代生まれくらいの、宇宙戦艦ヤマトやファースト・ガンダムを、リアルタイムでテレビ視聴していた世代は、「共通の(オタク)文化的教養」というものがあったのでは、と感じている。単に、自分が属しているクラスタで観測できる範囲なので、間違っているかもしれない。

それに、ちょうどその世代は、受験戦争が激しい時代を経てきた方たちなので、塾通いでアニメを観ることができない、ということもあったはずだ。ビデオデッキが一般家庭に普及したのは80年代前半ということなので、それまでアニメや映画は、リアルタイムでテレビで観るか、映画を観に行かなければ得られない類の教養だった。

それなのに、かれらは満遍なく、アニメや映画やSFに触れていて、シド・ミードの手がけた『ブレード・ランナー』も『ヤマト』も『∀ガンダム』さえもちゃんと知っている、という感じがする。

それに比べて、わたしには文化的教養がまったく足りないと感じる。『ブレード・ランナー』を観て「たしかに攻殻機動隊に影響を与えている感じがするなあ」と思ったり、Netflixドラマ『オルタード・カーボン』も、『ブレードランナー』に似ていると感じた。

どれも未来を描いている(た)ので、中国や日本の雑居ビル的な情報過多な感じが、未来的イメージの共通認識として存在していると、漠然と思ってはいた。

その、神話素のような未来のイメージを作った人物こそが、シド・ミードというヴィジュアル・フューチャリストだということを、今回の展示で初めて知ったのだった。

展示会があるということが話題になってから、シド・ミードの存在を知ったくらいなので、たいした知識もないままに足を運んだが、うまく言葉で表現できない「未来っぽさ」に、圧倒された。

展示には、ほとんどキャプション以外の説明がないので、作品背景などが全くわからないのだが、見せ方が凝っていて、専用のARアプリを使い、展示(と、会場で購入できる展示会図録)の絵を写すと、3Dに起こされた乗り物が表示されたり、スケッチのレイヤーが被ったりする。

彩色された、まるで完璧な「未来の完成予想図」のように感じるイラストの数々。そのスケッチが、パースを取って、緻密に計算がされているようすなのに、案外ざっくりとした鉛筆描きであることに、いちいち驚いた。

あるいは、縮尺が完璧に決められた宇宙船設計図の精密さ。スケッチなのに、上下に水平の線を引いて、カリグラフィで書かれた文章の几帳面さが、とくに印象に残った。

教養があれば、シド・ミードについて知っていれば、もっと面白く観ることができただろうと思うと、少し残念だ。

しかし、星の光で浮かび上がる宇宙船の輪郭。躍動感のある機械のポーズなど、知識がなくても、ずっと観ていられるくらい、1枚1枚の作品自体に情報量が多く、どれも興味深く眺めた。

また、メカ的なもののデザインと対比して、人間の描き方を観るのも面白かった。肉の付き方、筋肉の付き方に、ギリシャ彫刻のような均整を感じたのだ。未来のイメージに、古代のイメージが入り込んでいるようで、不思議な感覚を受けた。これは、映画やアニメになってしまったら、感じることのできない部分だと思うのだが、どうだろうか?

シド・ミード展、会期は5月19日(日)までとのことなので、お早めに。 

【2019-05-17 訂正】なんと、6月2日(日)まで延長とのことです。

シド・ミード展 PROGRESSIONS TYO 2019

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