NovelJam 2021 Online に参加したので、参戦記を残しておこうと思います。
が、その前に、今回大会の申し込みまでの葛藤と自分語りをいたします。NovelJam 2021 Onlineの参戦記につきましては、下記URLからどうぞ!
https://qtmode.com/2021/08/noveljam-2021-online-1/
前回のNovelJamは……
2019年11月、NovelJam’[dash]2019に参加しました。初めてオリジナルの小説を書くことになったので、是が非でも書き切ることだけが当初の目標でした。
NovelJamは、著者2名、編集者とデザイナーがそれぞれ1名ずつ、計4名が1つのチームを作って活動します。限られた時間内に、チーム一丸となって、ゼロから2冊の小説を作り、BCCKSという電子書籍の出版購入サイトで販売するイベントです。
それだけではありません。ただ作るだけでなく、販促を行って売上を立て、NovelJamに寄与する活動もポイントとして加算されます。さまざまな活動に対してポイントがつき、最終的にもっともポイントを得たチームがグランプリを受賞するというものでした。
わたしは学部生の頃に、文学作品を分析するテキスト論を学んでいます。自分の書いたものがどの程度なのか、書き上がったときに理解していました。たった2日間で書いたものです。そこに価値を感じてもらった上で購入していただくならともかく、一般文芸と肩を並べて、お金を払っていただく価値があるのかというと……正直、わたしの作品に関しては難しいレベルでした。
そういうわけで、本当は販売価格を無料にしたかったのですが、チームの編集者とデザイナーにもBCCKSにおける売上の一部が支払われます。尽力していただいたのに申し訳ないとは思いつつ、値付けは最小金額にしました。2019大会は全作品を文学フリマに出品することになっていたため、「オンデマンド版の印刷費は自己負担するので、無料配布にしたい」と希望しました。結局、それも認められなかったので、印刷費と経費分での販売となりました。
ことほどさように、自分の書いたものをかなりシビアに見ていました。二次創作で持っていた自信(コミケでは、お誕生日席)は、簡単に打ち砕かれてしまいました。電子書籍の販売を通じて、小説を売るということは、その分の価値を提供しなければならないことであり、今後は書いて書いて、そのレベルに達しなければならないぞ、という学びを得たのでした。
それが、どういうわけなのか。同窓会気分で参加した受賞式で、賞をいただいてしまいました。
ご多忙でいらっしゃる審査員の先生方に目を通していただくだけでも、ありがたいというのに……。普通の文学賞は「下読みをクリアした作品だけが、審査対象となる」ということを知っていました。読んでいただくことに対して、個人的に謝礼をお支払いしたいとも思っています。2019で審査していただいた、そして2021で審査してくださる先生方に、敬意と感謝をお伝えしたいです。
話を戻すと、わたしが受賞したのは藤井太洋賞でした。あの藤井太洋先生からいただいた賞です。本物です。概念ではないと思います。いや、概念かもしれない。
実際、授賞式に出席されていた審査員の方々によるクロストークで、わたしの書いたものについてはまったく、一度も話題に上がらなかったので、発表されたときは、びっくりしました。
NovelJamには賞がたくさんあります。これは勝手な憶測ですが「なるべく多くの参加者に賞が行き渡るように、賞をたくさん設けている」のではないか。そこで、同じ人が賞を独占しないように、わたしの作品がたまたま選ばれただけかもしれないな、と穿った見方をしていました。
小説を書くと決めたけれど……
とはいえ、真実はわかりません。それじゃあ、この賞に恥じないような作品を書こう! そう思ったのが、地獄のはじまりとなりました。
書けない。とにかく書けない。
学生時代は、毎日二次創作小説を書いていて、少しでも手間を省くために、記事を公開するためのHTML生成システムとして、ブログを設置したほどだったのに。書く時間を確保するために、環境を作るほどの熱意がありました。
それなのに。書けないので、せめて勉強をすることにしました。
映画を観ては構成を分析し、小説を読めば何が商品価値として認められて出版に至ったのかを考えるようになりました。ゲームもコンテンツとして、どこが面白さのポイントなのかを考える上で、良い教材でした。
面白さの追求と、構成の分析。7月の誕生日を経て、本格的に小説を書き始めようと思ったタイミングで、NovelJam 2021 Onlineの開催を知りました。
NovelJam 2021 Onlineに応募することに……
応募するかどうか、悩みました。2019から実作をしていないのに、参加する意味はあるのか。2019の講評でいただいた課題に対する答えをまだ出していない。2019年11月から1年半以上あったのに、また同じレベルのものを書いてしまうかもしれない。
とはいえ、再スタートするには良い機会だと考え、リベンジ参加をするに至りました。
それに、NovelJamはチーム戦。課題をクリアして、前回を超える作品を書くために、編集の方や、著者仲間に力を貸してもらおう。
……そんな甘い考えを見透かされたようなチーム分けがなされたのでした。
〈つづく〉